8月 24th, 2016

広汎性発達障害:障害基礎年金2級(遡及)が不服申立で決定(後編)(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/08/24 重2

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級が不服申立で支給決定
した実績(後編)です。
障害認定日及び裁定請求日共に不支給決定となった方の話の続きです。

不支給決定の連絡を受け、早速本人とお会いし、どのような書類を集め、審査請求
をすべきかを話し合いました。
自閉症の子供さんが通う養護学校、子供さんの障害の相談機関、等とは、その方の
不安症状、攻撃性、学習障害、強いこだわり、で毎日のようにトラブルを起こして
いたため、それらの方に、申立書を書いてもらうのが、その方の障害を理解して
もらうのに、最も説得力があると考え、それらの方に申立書の作成依頼をしました。
その方は一生懸命、多くの関係者に申立書作成のお願いに回りました。
不安からの攻撃性(長時間の電話で怒鳴る、無理難題を言う、など)で、さんざん
迷惑をかけてきたにもかかわらず、お忙しい中みなさん快く引き受けて頂き、
素晴らしい申立書が集まりました。
また、診断書では学習障害に関する記述が若干不足していると思われたので、医師に
そのことを申し上げ、それに関しての意見書を作成していただきました。
合計5名の方に、意見書、申立書を作成していただき、大量の書類を審査請求書に
添付し、審査請求手続きを行いました。

審査請求でも考えられることはすべて行い、完璧と考えていましたが、一般には
審査請求は容認とならないのが、半ば常識となっています。
事前にその方にもお伝えしており、審査請求棄却通知が届いたら、すぐさま
再審査請求のための行動をとりましょう、と話していました。
審査請求の結果を待つ間、私は次の再審査請求のための作戦を考えていました。
審査請求後待つこと3か月、私の携帯に厚生局から電話があり、もしやと
思いましたが、裁定請求の処分変更で、障害認定日、裁定請求日、共に
障害基礎年金2級が認められたという連絡でした。
(結果としては、裁定請求の処分変更は、審査請求の容認と実質同じことです。)
すぐさま本人に連絡すると、信じられない、と非常に喜んでいただけました。
先ほどの電話は夢かもしれないと思われ、その後2度確認の電話がありました。
一般に、決定がおかしいと思われる内容であっても、審査請求で覆ることはまれ
であり、次の再審査請求で覆すつもりでいたため、やや拍子抜けしましたが、早く
支給が決まり、本当に良かったです。
できることはすべてして審査請求に臨んだことが今回の支給決定に結び付いたと
思います。
また、最初の裁定請求の資料もやはり落ち度は無かったことが処分変更によって
証明されたと考えています。
やはり、行政も少数の職員、認定医が大量の請求書を吟味、決定をしなければ
ならず、時には間違った決定をすることもあります。
したがって、間違った決定と思われた場合は、不服申立をしないといけません。

先日、その方に遡及5年分の障害基礎年金2級(子の加算あり)の相当の額の
入金がありました。
本当に喜んでいただき、何度も御礼がありました。
その方は、意見書、申立書を作成していただいた5名の方にも御礼をしたいため、
文章作成が苦手な自分に代わって礼状の文章を作って欲しいと依頼され、快く協力
させていただきました。
礼状を持って、5名の方(別住所)に一人ずつ丁寧に御礼の挨拶回りをされました。

また、余談になりますがその方は道を歩いていて偶然介護施設の職員が障害者を
虐待する現場を目撃し、見過ごすことができず、一人でその職員が働く介護施設に
怒鳴り込んでいったという、正義感の強いところもありました。
丁寧な御礼回りや障害者への虐待を見過ごすことができなかったところは、
他人への攻撃性を示す人格とは一見矛盾する人格のように見えるかもしれません。
その方は、広汎性発達障害の特徴の一つ、極端な生真面目さ、こだわりがあり
ました。
他人への攻撃性は、自ら障害を持ちながら母親の務め(自閉症の子を自分一人で
育てなければならない)を完璧にこなそうとする生真面目さゆえに、思い通りに
事が運ばない苛立ち、不安感から、現われた広汎性発達障害の特徴の一つであった
と思います。
恩を忘れず誠実に御礼回りをし、また障害者への虐待を見過ごすことができず
行動を起こした人柄こそその方の本来の姿であったと思います。