11月 14th, 2020

慢性膵炎:審査請求(不服申立)で遡及2級が認められた事例(相当因果関係の有無)

1.病歴
その方は約8年前、お腹が痛くなり、入院、急性アルコール膵炎と診断されました。
その後飲酒、タバコは禁止され、5年間体調はよく、サラリーマンを問題なく続けていました。
約2年前再びお腹が痛くなり、入院、慢性膵炎と診断されました。
かなり重症であり、膵管にステントを挿入し、今後定期的に交換が必要でした。
立ち上がり体を動かすと、めまい、立ち眩みがあるため、1日の大半を横になって過ごしていました。
また沈痛目的で医療用麻薬も処方されていました。

2.無料相談~裁定請求~却下決定~審査請求~障害厚生年金遡及2級受給決定
その方は障害年金専門の社労士をインターネットで調べ、遠方でしたが私に無料相談の電話がありました。話をするだけでも辛そうでした。
約8年前の急性アルコール膵炎の初診時は、保険料納付要件を満たしませんでした。
約2年前の慢性膵炎の初診時は、厚生年金加入中であり、保険料納付要件を満たしていました。いずれかが初診となります。
その方は医師より、約8年前の急性膵炎と約2年前の慢性膵炎は無関係だと聞いていたため、約2年前の慢性膵炎の初診日を今回申請の初診日として、裁定請求することにしました。
しかし、万一日本年金機構で急性膵炎と慢性膵炎に関係があると判断された場合に備え、社会的治癒の申立も合わせてすることにしました。
急性膵炎から慢性膵炎の間の約6年間会社に勤務していたときの同僚2名に、元気に勤務していたことを申立していただきました。
約2年前の慢性膵炎の初診日を今回申請の初診日として、傷病名:慢性膵炎として認定日請求をしました。
それには、以前の同僚2名の申立書も添付しました。
数か月後、慢性膵炎の初診日が約2年前と認められないとして、却下通知が届きました。
その方に相談したところ、医師より、約8年前の急性膵炎と約2年前の慢性膵炎は無関係だと聞いていたのは間違いないということだったため、不服申立(審査請求)をすることにしました。
主治医に、約8年前の急性膵炎と約2年前の慢性膵炎に関連はないという見解を意見書に書いていただき、それをメインに厚生局に審査請求しました。
万一約8年前の急性膵炎と約2年前の慢性膵炎は相当因果関係があるとされた場合にそなえ、再び、社会的治癒の主張も繰り返しました。
国民年金・厚生年金保険の障害認定基準の第1 一般的事項 2 傷病

には、「(2)「起因する疾病」とは、前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に相当因果関係があると認められる場合をいい、負傷は含まれないものである。」と相当因果関係に関する記載があります。
その後、日本年金機構からカルテの提出を求められ、本当に両者に関連がないか調査されました。
その後、日本年金機構から処分変更の通知があり、障害厚生年金2級が認められました。
主治医に意見書を作成していただいたものの、カルテを精査され、少し心配していましたが、何とか初診日が認められほっとしました。
その方は、1日の大半を横になって過ごしており、仕事もできなかったので、障害厚生年金遡及2級受給が決定し、高額な遡及分の入金もあり、非常に喜んでいただけました。