障害年金対象外の神経症で障害年金3級を取得した事例
更新 2024/1/11
1.経緯
その方(60代男性)は、平成2年ストレスから対人恐怖症、頭痛、動悸があり、心療内科を受診し、自律神経失調症と診断されました。
その頃は仕事をせず、また国民年金加入期間でしたが、殆ど国民年金保険料を納付していませんでした。
平成8年から、一念発起し、食品製造会社で仕事をしながら整体の学校に通い資格を取得し、平成13年から資格を生かし、整体の会社でマッサージの仕事を始めました。
その頃知り合った女性と結婚されたのですが、女性にはひきこもりの娘さんがいました。
徐々に娘さんと奥様の精神状態が悪化し、家庭内が荒れるようになり、次第にその方も疲労困憊し、平成22年精神科を再び受診するようになりました。
平成30年整体の会社を定年退職し、以前勤めていた食品製造会社で仕事を始めましたが、精神的ストレスから、平成8年頃容易にできていた調理の仕事も思うようにできず、退職となりました。
離婚し家族のストレスは無くなりましたが、精神面のダメージは変わらず、何もする気がなくなってしまいました。
2.無料相談~障害年金対象外の神経症で、障害厚生年金3級決定
その方は、遠方のためお電話で当事務所に相談がありました。
その方は、2重の問題がありました。
(1)平成2年の初診の心療内科受診の頃までは、無職でほとんど国民年金保険料を
納付していませんでした。したがって、原則障害年金はもらえません。
日本年金機構では、初診日時点の【保険料納付要件】が定められています。
(2)現在治療中の精神科での傷病名が「適応障害」(F43)でした。
適応障害などの神経症は障害年金の対象外であり、原則障害年金はもらえません。
主治医は「適応障害」と診断しているところを、(当然ですが)「うつ病」などと偽ることはできません。
日本年金機構の【障害年金認定基準(精神)】に次の記載があります。
(5) 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則
として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態
を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
これら2重の問題があり、障害年金受給は困難かと思われましたが、次のように対応しました。
(1)の対策:社会的治癒
平成8年からの食品製造の会社、および平成13年からの整体の会社では、
一生懸命仕事をされており、同僚にも認められており、その同僚たちとも付き合いが
続いていたため、「第三者からの申立書(社会的治癒)」を複数名の方に書いていただきました。
平成2年が本来の初診日ですが、社会的治癒を主張し、平成22年を初診日として、請求しました。
(2)の対策:うつ病の病態
現在治療中の精神科での傷病名が「適応障害」(F43)でしたが、抗うつ薬を処方されていました
ので、処方薬名:ミルタザピン を明記していただきました。
また、無気力で、食欲もなく、風呂にもあまり入れない状態であったため、「うつ病の病態を示している」
ことを、医師了解の上、明記していただきました。
これら2種の対策を行い、裁定請求を行い、無事障害年金3級を受給することができました。