自閉症スペクトラム障害 日常生活能力の判定が全て「できる」と診断された事例
更新日時 2024/2/24
1.経緯
その方(女性)は、生後半年で、てんかん発作があり、医療機関への通院を続けましたが、幼稚園頃まで発作が続きました。
小学校では不登校があり、心療内科への通院を始め、神経症と診断されました。
中学は問題ありませんでしたが、高校、大学、専門学校は、人間関係の問題で、中退、転校を繰り返しました。
2度結婚をしましたが、いずれも家事ができず、喧嘩続きで、離婚となりました。
仕事も、同僚にいじめられたり、退職勧奨があり、2か月以上続くことはありませんでした。
心療内科も自分に合うところがなく、転医が続きました。
ある病院の精神科にかかり、初めて自閉症スペクトラム障害と言われ、人間関係が続かない、また家事ができない原因がわかったと言います。
2.医師が変わり、障害基礎年金2級決定
最初、その方の母親より、相談がありました。
娘さんが、数えきれないほど転職を繰り返し、現在の病院で自閉症スペクトラム障害とわかったものの、主治医が障害年金の診断書作成に消極的とのことでした。
最初他の社労士に相談したところ、自閉症スペクトラム障害について詳しくないため、当事務所に相談となり、契約となりました。
初診日は、生後半年後のてんかんの受診か小学生の神経症の受診か迷うところでした。
主に小学生の神経症の受診を初診日とし、予備的に生後半年後のてんかんの受診を初診日とし、両者の受診状況等証明書を取得しました。
現在の病院の、障害年金の診断書作成に消極的な医師に、病歴、日常生活の不便、「WAIS-Ⅲ検査」結果をまとめた、診断書作成依頼書を提出し、診断書を作成してもらったところ、驚くことに、殆ど全く問題なく生活できる人の日常生活能力の評価でした。
さらに驚くことに、以前その病院で検査された「WAIS-Ⅲ検査」の結果が記載されていなかったのです。
そのため、本人と共に受診して、日常生活能力、及び「WAIS-Ⅲ検査」の説明を主治医にさせていただきました。
その医師より「WAIS-Ⅲ検査」結果の不記載について詫びがあったものの、日常生活能力の評価については正当性を主張されました。ご本人はその場で泣きだしました。
カルテに日常生活の記載がないから、全てできるという評価のようですが、日常生活に全く問題ない人が毎月精神科に通院するでしょうか?
カルテに記載が無ければ、日常生活のヒアリング、又は問診票、又は社労士等代理人の提供資料で確認するべきでないでしょうか?
医師の方から主治医交代の要否を尋ねられたため、私と本人は即交代をお願いし、後日同病院の別の医師の診察を受け直しました。
その後、新たな医師による、実態にあった診断書ができあがりました。
裁定請求を行い、無事障害基礎年金2級を取得できました。
主治医交代で若干裁定請求手続きは遅れましたが、主治医交代前の診断書で障害年金受給は不可能でしたので、ご本人、お母さまは大変喜ばれました。