胸椎後縦靭帯骨化症(難病)で障害基礎年金1級(事後重症)が支給決定した
遠方の方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(女性)は、背中、腰に負担のかかる肉体労働のパートをしていました。
従業員が1人減り、一人あたりの仕事量が増加し、さらに体に負担がかかるように
なりました。
上司には、何度も対策を要望しましたが、目だった対応はありませんでした。
床の段差を下りた時に、足の力が抜ける事があり、徐々に頻繁に起きるように
なりました。
病院を受診したところ、胸椎後縦靭帯骨化症と診断され、難病指定されました。
黄色靭帯骨化症も併発していました。
その後、歩けなくなりました。
後縦靱帯骨化症とは、背骨の中の後縦靭帯の一部が骨化した結果、脊柱管が狭くなり、
神経根が押されて感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気であり、
指定難病の一つです。
胸椎5~胸椎12まで16本のチタンボルトで固定する手術 (胸椎後方固定術)を
受けました。
現在、10メートル位迄両杖でゆっくり歩けますが、外出は車椅子を使用して
いました。
最初、遠方であったため、ご本人より電話でご相談がありました。
その時は、元気で明るい印象でした。
詳しく話を聞くと、障害年金でなく、労災の申請をしてもらえないかということ
でした。
職場では、会社に何度も対策を要望したにもかかわらず、殆ど聞いてもらえず、
障害を負ってしまったので、労災にならないと悔しいと仰っていました。
その方の地元の労働基準監督署に電話で相談したところ否定的な答えでした。
医師が明確に、業務と障害との因果関係を説明できないと認められないとのこと
でした。
私の地元の労働基準監督署にも出向き相談しましたが、同様でした。
職場での突発的な事故で脊髄を損傷したということであれば、認められるが、
原因がよくわからない難病で認められることはまずないでしょうという回答
でした。
そこで、労災については、諦め、障害年金を目指すことになりました。
次に、初診日を決めるのにかなり時間がかかりました。
その方は、障害年金は初診日が大事であり、それを間違えると支給されないことも
ありうるということもよくご存知でした。
初診日の頃、貧血、他の病気による痛み、肩こり、腰痛などでいろいろな
クリニックを受診しており、一体いつのどこが初診になるのかわからない、
あーでもない、こーでもないとメールのやりとりが続きました。
いろいろなクリニックに問い合わせましたが、すっきりとした結論は出ません。
結局、現在通院している病院の主治医に、経過を説明し、どれが相当因果関係の
ある傷病かを相談し、見解を聞き、初診証明をとりました。
その後、現在通院している病院で診断書を作成していただくにあたり、現在の症状
をまとめるためのヒアリングをしましたが、これも一筋縄にいきませんでした。
肢体障害の場合、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」が重要です。
その方は、「片足で立つ」、「深くおじぎをする」、「歩く(屋内)」、
「歩く(屋外)」、「階段を上る」、「階段を下りる」、「ズボンの着脱」、
「靴下を履く」、「用便の処置をする」の項目を特に細かくヒアリングしました。
その方は、内心自分が障害者だと認めたくない気持ちをお持ちだったようです。
当初は、ある程度自力で歩くことができる、階段も何とか登れるようなことを
仰っていました。
そのため、障害年金2級も厳しいかもしれないというのが最初の印象でした。
しかし、聞けば聞くほど実際はかなり重症だということがわかってきました。
両杖無しでは全く歩けない、玄関を出たところに小さな段差があり、それさえ、
両杖があっても下りることはできず、家族の支えが必要とのことでした。
階段の昇り降りなどはもっての他です。
命がけでやれば階段も3段くらい登れると言うのですが、命がけで階段を3段
登れても「登れる」といわない。それは紛れもなく、「登れない」という
のですよと説明しました。
さらに、恥ずかしさと自分がみじめになるのが嫌で、隠していらっしゃったこと
もありました。
診断書に「用便の処置をする」という評価項目がありますが、上半身を折り曲げ
たり、ねじったりができず、用便の処置も自分でできない程酷い状況でした。
風呂でも、頭や下半身は自分で洗えないということでした。
それらの隠していたこともすべてさらけ出していただき、日常生活能力を
まとめて、医師に診断書作成依頼をしました。
その結果、ほぼ実態にあった診断書ができてきましたが、一部実態と異なる点は
妥協せず指摘し、修正していただきました。
最後に、住民票、戸籍謄本などを取得してくださいとお願いしました。
今迄苦労を重ねた初診証明、診断書と違い、単純な事務作業であり、すぐ対応
していただけると軽く考えていました。
しかし、ここでまたつまずきました。
お子さんの進学のため、その入学手続き、準備を身体の不自由なその方が全部
ひとりでこなしていました。
1か月経過しても一向に書類が整わないため、お電話したところ、自分の障害
年金よりも子供の進学を優先してやっているが、この不自由な身体でやるのは
もう心身共に疲れ果て、死にたいと思うこともあると、今までとは別人のように
元気のない声で仰いました。
精神的にまいってしまっておられたので、ゆっくり進めてくださいと、
急かさないようにしました。
(とはいうものの、診断書の有効期限があることはお伝えしました。)
このように、最初電話でご相談いただいてから、6か月もかかってしまい
ましたが、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症での裁定請求手続きを無事終える事が
できました。
しかし、6か月間だらだらと進めていたわけではなく、労災の検討から始まり、
紆余曲折があり、時に強い口調でたしなめ、時になぐさめ、やるべきことは
やりつくし、双方納得のいく充実した6か月でした。
先日、お電話があり、傷病名:胸椎後縦靭帯骨化症で障害基礎年金1級
(子の加算あり)の年金証書が届いたと喜びの連絡がありました。
思っていたよりも高額な年金をもらえることになり、うれしくて、何度も
感謝の気持ちをお示しいただきました。
当初、障害基礎年金2級もどうかわからないと思われました。
自尊心を傷つけてしまったところはあったかもしれませんが、プライド、
恥ずかしさは捨てていただき、正しい日常生活能力を明らかにされ、
その通りの診断書ができあがり、障害基礎年金1級受給に結び付きました。
すべての書類がそろい、ようやく裁定請求の準備が整ったときに、いただいた
メールの一文が心に残りましたので、紹介させていただきます。
「海外で商売をする夢もあったんですが、あきらめました。もし 障害年金が
決まれば また夢を見つけて生きる希望も見つけられるような気がします。」
その方は、もともとファイトのある方です。次の夢はきっと見つけられる
でしょう。
今回の障害年金受給がその一助になれば、それに勝る喜びはありません。
てんかんで障害厚生年金3級(遡及)2級(事後)が支給決定した遠方の方の
実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(男性)は、25年程前、障害者施設に勤務していました。
障害者の方々をマイクロバスに乗せ運転中、意識喪失し、病院に救急搬送され、
てんかんと診断されました。
その後、てんかん治療を継続するものの、てんかん発作は続きました。
自動車の運転業務は免除、デスクワークが中心となりましたが、発作時以外は
ばりばり仕事をこなすことができました。
その後幾度か転職もありましたが、20年以上ほぼ無職の期間は無く、発作時
以外はしっかりとフルタイムの仕事をすることができました。
しかし、2年程前から、考えがまとまらない、人と会話がとりづらくなる、
朝起きれない、などの症状が現われました。
うつ病と診断され、うつ病の治療も開始されました。
仕事も困難となり、会社を退職し、現在まで無職です。
また、てんかん発作の頻度も多くなりました。
最初、遠方であったため、ご本人より電話で相談がありました。
しかし、病歴(てんかん発作の時期)の説明はあいまいな点が多く、全貌を
掴むのは困難でした。
確かに、初診が25年程前のことであり、その後のてんかん発作の時期、程度、
状況をすべて正確に思い出すのも大変かと思います。
奥様と時間をかけて、昔の記憶をひとつひとつたどり、じっくり思い出して
いただきました。
1か月程かかりましたが、約25年間の病歴が明らかとなりました。
2年程前までは、てんかん発作時以外は一般社員と同様にしっかりとフルタイムの
仕事をされていたため、当初は障害認定日(遡及)請求は難しいと考え、
事後重症一本の請求方針をたてていました。
しかし、よく話を聞くと、長年にわたり複数の勤務先のいずれも自動車運転の
業務は免除、デスクワークが多いなど配慮された勤務であったことがわかり、
障害認定日(初診日から1年半後)の請求も可能かもしれないと考えました。
初診から現在まで同じ病院に通院していたことが幸いし、25年程前のカルテも
残っていました。(しかし、当時の主治医はいらっしゃいませんでした。)
現在の主治医に依頼し、障害認定日時点の診断書も作成していただけることに
なりました。
現在の主治医は若い方で、障害年金の診断書作成経験が無く、作成方法を教えて
ほしいとお電話をいただき、細かく説明させていただきました。
病歴就労状況等申立書には、勤務先での配慮事項(車の運転業務免除、デスク
ワーク、等)を今迄勤務した複数社毎に細かく記載しました。
また、約25年間のてんかん発作すべての時期、程度、状況を詳細に記載しました。
診断書にも同様に、約25年間のてんかん発作すべての時期を書いていただきました。
障害認定日と現在の診断書がそろい、傷病名:てんかんで障害厚生年金裁定請求を
行いました。
裁定請求手続きを終えた報告をすると、その方は、遠方ながら私の事務所に御礼に
伺いたいとおっしゃいましたが、現在ご主人の収入は無く、家計が苦しい中、
交通費をかけて来ていただくのは申し訳ないとお断りさせていただきました。
裁定請求手続き後、結果通知がまだ来ないまだ来ないと、何度もお電話いただき
ました。
電話の度に、障害年金が入らないと生活していけないと切実に訴えられました。
裁定請求から3か月ほどで、ようやくご本人から、傷病名:てんかんで障害厚生
年金3級の年金証書(遡及)が届いたと喜びのご連絡をいただきました。
過去5年分の障害年金の一時金がもらえるということで非常に喜んでいただけました。
しかし、一方事後(裁定請求後)障害厚生年金2級をもらえると期待していましたが、
その結果通知は無く、不満も訴えていらっしゃいました。
その2か月後、障害厚生年金2級(事後)の通知があったと連絡がありました。
現在の症状が的確に表現された診断書を書いていただいており、2級はいけるはず
とその方に申し上げていたので、ようやく肩の荷がおりた気がしました。
当初は、フルタイム勤務が途切れることも無かったため、障害認定日時点の認定は
無理かもしれないと思っていましたが、長年の勤務先での配慮事項をしっかり
病歴就労状況等申立書に記載した甲斐がありました。
また、最初、ご本人に約25年分のてんかん発作すべての時期、程度、状況を
思い出してくださいと大変なお願いをし、1か月程かけて可能な限り正確な時期、
程度、状況を提供していただいた甲斐がありました。
てんかんの場合、発作の回数、程度は、障害等級を決める大きな決め手となります。
てんかん発作の時期、程度、状況をすべて洗い出し記載することで、行政に対して
より説得力が増し、遡及3級事後2級という狙い通りの結果が得られたと考えて
います。
クローン病で障害厚生年金3級(障害認定日請求)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(男性)は、ある夜複数回下血があり、翌日病院で検査を受け、
クローン病と診断されました。
クローン病は、大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす疾患
(炎症性腸疾患)のひとつで、難病に指定されています。
一般に、口から肛門に至るまで、全消化管に炎症性の潰瘍などの病変ができ、
主な症状としては、下痢、腹痛、全身倦怠感、下血、発熱、痔ろう、などがあります。
その方は、クローン病の治療が開始されましたが、ある夜腹痛が起こり、入院、
腹膜炎による緊急手術となり、回腸部分切除、小腸人工肛門増設術を受けました。
退院後、暫く休職し、復職を果たしました。
しかし、クローン病の影響で、体のダルさ、寒気、立ちくらみの症状があり、
外出はいつもご家族同行でした。
入浴、ストーマ(人工肛門)交換は、奥様の支援が必要でした。
会社では、ストーマからの排便の漏れなどで、早退することがありました。
食事をすると直ぐに排便され、職場で漏れるのが気になり、ストレスで、
睡眠時間が短くなり、身体がだるく、仕事が出来る状況ではなくなり、
再び休職となりました。
最初は、人工肛門増設から2か月後、奥様よりお電話で相談がありました。
病歴、現在の症状については、奥様よりメールで詳しく情報をいただきました。
初診病院で受診状況等証明書(初診証明)をとり、残るは診断書となりました。
以前は、人工肛門増設日が障害認定日でしたが、平成26年4月施行された国年法
および厚年法施行規則の改正により、人工肛門、尿路変更術、新膀胱について
障害認定日の扱いが変更となりました。
人工肛門については、人工肛門増設日から6月を経過した日(初診日から起算して
1年6月を超える場合を除く。)が障害認定日となりました。
したがって、人工肛門増設から6か月経過まで、4か月程、お待ちいただくことに
なりました。
人工肛門増設から6か月経過し、医師にクローン病の診断書を作成していただき
ました。人工肛門の対応で、日常生活に難渋されていることが、しっかり診断書に
記述があり、安心しました。
先日、奥様より傷病名:クローン病として障害厚生年金3級の年金証書が届き
ましたと、喜びのご連絡をいただきました。
障害認定日は原則初診日から起算して1年6月経過日、またはそれまでに治った日
(症状固定日)のいずれか早い方の日です。
しかし、障害認定日には、特例があります。
人工透析、人工骨頭、ペースメーカー、人工肛門、などです。(他もあります。)
障害認定日を間違えて、障害年金請求手続きをすると、無効な診断書とされ、
却下とされる可能性があります。
人工肛門のように、法改正のある場合もあります。
障害認定日に関して不安、疑問がある場合には、是非我々社会保険労務士にご相談
いただきたいと思います。
先日(2017年9月)、1年ぶりに障害年金不服申立て公開審理の傍聴をして
きました。場所は厚生労働省社会保険審査室です。
年金の裁定や受給権の消滅など、厚生労働大臣の行った処分に不服があるときは、
不服申立てができます。
障害年金についての不服申立ては二審制となっており、一審目が審査請求、ニ審目が
再審査請求です。
肢体の認定状況に関して最近の動向を把握するために、傍聴しました。
当日の審理件数は14件でした。
その中で、3件については、全国各地の社会保険労務士が代理人として意見陳述を
していました。
1件については、ご本人が意見陳述をしていました。
他は請求者欠席のまま、審理されました。
傍聴者には、資料の配布、申立て内容の詳細説明はありません。
したがって、審査員、保険者、請求者(代理人)、参与から何も発言が無いと
傍聴者には、審理内容は全くわかりません。
しかし、何らかの発言があると、争点の一部を理解することができましたが、
当日は保険者、審査員の方の声が小さく、少し離れた傍聴席では傷病名など聞き取れ
ない事があり、残念でした。
当日発言のあった中で、傷病名等情報が一部聞き取れませんでしたが、気になる
審理が次の5点ありました。
1.社会的治癒が争点。
初診病院は既に廃院。医証なし。
その後は、病院に通院していないが、首の状態が徐々に悪くなっていったことを
病歴就労状況等申立書に記載。
初診から15年以上経過し、他の病院を受診。
保険者は、「首の状態が徐々に悪くなっていったこと」をとらえ、社会的治癒を
認めず。
参与3名より、社会的治癒を認め、初診から15年以上経過後、受診した病院を
初診としていいのではないかという発言があった。
社会的治癒が関係するケースは、行政を納得させられる証拠をそろえることが重要と
感じました。
2.初診日の時期が争点。
歩行しにくくなり、病院を受診したが、原因不明であった。
3年程経過し、別の病院を受診し、黄色靭帯骨化症と診断された。
請求者代理人は最初にかかった病院で歩行困難な症状を訴えていたため、その受診が
初診と主張。
保険者は、3年程経過後、受診した別の病院を初診と判断。
保険者医師は、最初にかかった病院が初診と認められないのは、原因不明であった
からではなく、黄色靭帯骨化症の症状が記載された医証(カルテなど)が示されて
いないためであると説明。
また、「医師は患者が口にしたことはすべてカルテに書きます。今回の患者が症状を
訴えていたら、カルテに書いてあるはずです。」と説明。
3年前とは別傷病とし、「初めて2級」の請求であれば、成立する可能性を示唆。
3.更新で、前回と診断書の内容がほぼ変わらないにもかかわらず、1級から2級に
変更となった。
保険者は、今回の診断書から、2級と判断したと説明。
ほぼ同じ診断書の内容であった前回、なぜ1級認定がされたかは、説明なし。
4.更新で、前回と診断書の内容がほぼ変わらないにもかかわらず、2級から3級に
変更となった。
参与は、今回の診断書で、3級認定はやむを得ないが、前回2級認定が甘かったの
ではないかと発言。
別の参与は、本人は納得がいかないと思うので、今回2級継続で様子見でいいの
ではないかと発言。
5.脳出血で障害年金の認定があり、その後徐々に片麻痺が悪化し、8年後額改定
請求をした。
保険者は、脳出血の症状が8年後に悪化することはないと主張し、額改定は
認められないと説明。
ご本人は身体が不自由ながら一人で出席されており、脳出血の1か月後、一時的に
心臓停止があったと説明。
審査員と参与が、心臓停止時にもし別の傷病があれば、初診として裁定請求できる
可能性を示唆。
上記1:社会的治癒、上記2:初診日時点では原因不明であった、場合などは、
一般の方の対応は難しいと思います。
このようなケースでは、是非障害年金に詳しい社労士に相談されることをお勧めします。
上記3,4のような更新では、前回とほぼ同じ診断書を作成してもらえば、同一等級を
認めてもらえるはずと、安心してはいけないことがわかります。
更新時も最初の裁定請求をするときと同じように、診断書以外にもいろいろな資料を
揃えることをお勧めします。
上記5のケースでは、審査員と参与が、ご本人に対し別の方法で額改定できる可能性を
アドバイスしていました。
しかしながら、会話はかみあっておらず、ご本人はそれを理解されていない様子でした。
傍聴者がその場で口をはさむなどということはできません。
行政が作成する正式な決定書は、専門用語を使った文章で理由、結論が書かれています。
とても一般の方が読み下せるものではありません。
一般の方にもわかりやすい噛み砕いた説明や今後のアドバイスを記載する配慮は無い
ように思います。
今回の方は、社労士の力を借りずに自力で請求手続きを行っていらっしゃったよう
ですが、再審査請求棄却の決定書が送られ、その後のアクションもわからず、途方に
くれるのではないかと思います。
その方への連絡方法がわからない今となっては、その方が障害年金に詳しい社労士に
相談されることを祈るしかありません。
パーキンソン病(難病)で障害厚生年金2級(事後重症)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(女性)は、身体の痛みが1年以上続いた後、同僚から行動が遅くなったと
言われ、自分でも、椅子に座るとき、立ち上がるとき、サッとできないことを
自覚するようになりました。
その後、手が少し震えるようになり、会社を退職し、複数の病院に行きましたが、
どこの病院でも異常なしと言われました。
その後、財布からお金もうまく取り出せなくなり、字もうまく書けないように
なってきました。
以前とは別の病院を受診すると、パーキンソン病と診断され治療が開始されました。
パーキンソン病とは、脳内で運動の指令をしているドパミン神経細胞が十分に
作られなくなり、運動の調節がうまくいかなくなり、身体の動きに障害が現われる
病気であり、難病に指定されています。
その後、ジスキネジア(不随意運動)が現われるようになりました。
身体がもじもじ動いたり、身体が左右に揺れたり、意思に反して後方に突進すると
いった症状でした。
治療開始後、4年程で薬の効果も短くなってきました。
転ぶことも増え、家に閉じこもるようになりました。
最初、遠方であったため、ご本人より電話でご相談がありました。
しっかりとお話しをされ、昔のこともよく覚えておられました。
病歴を尋ねると、エクセルできれいに病歴をまとめていただけました。
病院ごとの受診年月もしっかり記載されており、その時は全く疑う気持ちもあり
ませんでした。
症状を伺うと、2級は難しく、3級程度かと思われました。
しかし、手が少し震えるようになった後の初診日(A病院)は、会社を退職後と
いうことでした。
すると、国民年金加入時の初診日ということになり、3級程度では不支給に
なってしまいます。
会社退職前にどこか病院にかかっていないか伺うと、1年以上身体の痛みで病院に
かかっていたことがわかりました。
その身体の痛みでかかった病院で初診証明をとり、進めました。
その初診が認められ、障害厚生年金3級が決定すると考えていました。
現在通院中の病院には、症状を細かくお伝えし、診断書を作成していただき、
傷病名:パーキンソン病で障害年金裁定請求を行いました。
3か月ほどして、日本年金機構から返戻(問い合わせ)がありました。
身体の痛みはパーキンソン病と相当因果関係はないので、手が震えるように
なった後受診したA病院の受診状況等証明書を整備するようにということでした。
そのため、ご本人より「障害年金受給はもう無理でしょうか」という、弱気な
発言がありました。
とにかく、A病院に問い合わせ、受診状況等証明書をとったところ、ご本人の
記憶違いが判明しました。
その方は、会社を退職後、A病院を受診したと思い込んでいました。
しかし実は会社で退職手続き後A病院を受診したのは間違いないのですが、
その受診日はまだ有給休暇消化期間中で、退職前であることがわかりました。
「ご迷惑をおかけし、すみませんでした」と、ご本人からお詫びの言葉が
ありましたが、手が震えるようになった後の初診日が厚生年金加入期間である
ことがわかり、ほっとしました。
新たに作成していただいたA病院の受診状況等証明書には、原因は「不明」と
しながらも、本人が「ふらつき、手のふるえ」を訴えていたことが記載されて
おり、これで障害厚生年金3級は間違いないと確信しました。
先日ご本人から、傷病名:パーキンソン病で障害厚生年金2級の年金証書が
届いたと喜びのご連絡をいただきました。
初診日が思いがけず、厚生年金加入期間であり、さらにまた2級というのも
予想しなかったことであり、うれしい誤算でした。
一時は諦めかけましたが、期待以上の結果となり、本当によかったと思います。
やはり、最後まで希望を捨てずに頑張った甲斐がありました。
慢性腎不全で障害基礎年金2級(事後重症)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(女性)は、妊娠中の定期検査で、尿糖値が高かったため、糖尿病の治療を
するように指示され、同病院の内科で糖尿病の治療を続けました。
しばらく通院したものの自覚症状はなく、自己中断しました。
その後、糖尿病の治療を再開し、糖尿病性の白内障の治療も受けました。
初診から、20年程経過し、腎臓が急激に悪くなり、シャント手術を受け、
人工透析が始まりました。
現在、日常生活では、朝起きたときにふらふらし、立ち上がるのも辛いようです。
遠方の方のため、最初ご主人から電話で相談がありました。
本人もご主人もメールをされないため電話と郵便でヒアリングさせていただきました。
まず、病歴を把握していくのですが、20年以上前の初診の頃から10年間程の
ご本人の記憶があやふやで、苦労しました。
ご本人が自信を持って言えたのは、妊娠中の定期検査で、尿糖値が高かったこと
であり、それで治療がスタートしたことです。
尿糖値が高かったことが、母子手帳に記載されており、間違いはありません。
初診の病院には、既にカルテは無く、初診証明は得られませんでした。
しかし、初診の病院に、小中学生の時の同級生の職員がおり、初診当時待合室で
糖尿病治療について立ち話をしていたため、その職員に第三者証明をして
いただけました。
また、後に(2年程前に)受診した病院で、20年程前の初診の頃のことを
話しており、カルテに記載されていたため、受診状況等証明書に記載して
いただきました。
(後述する厚生労働省の通知によれば、「2年前受診」というのは、証明力が
充分ではないことは承知していましたが、他に決定的な医証は無く、やむを
得ませんでした。)
障害の程度としては、人工透析をされているため、全く問題はなく、問題がある
としたら、初診日であろうと予想していました。
初診日証明に関して、上記のように、
(1)尿糖値が記載された母子手帳のコピー
(2)初診日に関する第三者証明
(3)2年前に受診した病院の受診状況等証明書
の3点でいけると考え、傷病名:慢性腎不全の診断書を添付し、裁定請求手続きを
しました。
しかし、2か月後日本年金機構から返戻(問い合わせ)がありました。
申立てしていた初診日は認められず、その他の確認できる資料を準備しなさい、
という主旨でした。
具体的にどこがどう不備なのか詳細な説明がないため、あらゆる可能性を想定して
対応するしかありませんでした。
しかし明らかに疑いを持たれていた点が1点ありました。
初診日から糖尿病性白内障の手術までの期間が短かったのです。
糖尿病性白内障の手術の時期は、ご本人のヒアリングで聞いた時期をそのまま
病歴就労状況等申立書に記載していましたが、ご本人の記憶違いであったことが
わかりました。
手術した病院に確認すると、手術の時期はご本人の記憶より8年も後のことだと
いうことがわかりました。
その病院に受診状況等証明書を書いてもらい、病歴就労状況等申立書に誤りがあり、
訂正します、という旨の申立書を作成しました。
また、初診日に関する第三者証明をさらに2名の方に書いてもらいました。
さらに、2年前に受診した病院の受診状況等証明書に記載いただいた20年程前の
初診日を記述した部分のカルテ開示請求をしました。
すると、電話に出られたソーシャルワーカーさんは、私が窮し、あせる気持ちで
電話するのを予期し、電話するに至った経緯をすべてご存知であったかのように、
非常に協力的で、厚さ1センチ以上にもなるその方のカルテすべてを即座に
コピーしていただけました。
さらに、申し立てた初診日が仮に初診日として認められなかった場合でも、
初診日が一定の期間内にあることを証明し、その期間内であればすべて保険料納付
要件を満たすことを主張する申立書を作成しました。
結局、下記5点を準備しました。
(1)糖尿病性白内障の手術を行った病院の受診状況等証明書
(2)病歴就労状況等申立書の手術時期の記載誤りを訂正する旨の申立書
(3)初診日に関する第三者証明2名の追加
(4)カルテ開示コピー
(5)一定の期間内で保険料納付要件を満たす申立書
「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令」が、平成27年10月1日
から施行されました。それに関連して厚生労働省より、平成27年9月28日付で、
この改正に係る事務の取扱いについての通知が出されました。
この通知では、今回のように初診日の医証がない場合、初診証明のためにどの
ような資料が必要になるのかを様々なケース毎に細かく定めています。
その通知に照らしてみても、今度こそこの5点の資料を加えれば問題ないはずと
考え、日本年金機構の返戻に対する回答として提出しました。
先日、ご主人から、傷病名:慢性腎不全として障害基礎年金2級の年金証書が
届いたと電話がありました。
丁度ご主人が会社を退職され、収入が無くなり、困り果てておられたところであり、
今迄のご主人の収入の完全な代替にはとてもならないものの、生活費の足しに
なると、お喜びでした。
今回、病歴就労状況等申立書に一部誤りがあり、また初診証明が不充分であった
ことがわかり、今後の反省点となりました。
しかし、日本年金機構には返戻していただいたおかげで、再度詳しく調査すること
により初診証明がより強固なものとなり、障害年金受給の結果に結び付きました。
日本年金機構の良心的な対応に感謝したいと思います。
腰椎椎間板ヘルニアで障害厚生年金3級(事後重症)が支給決定した遠方の
方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(男性)は、重いものを持つことの多い仕事をされており、腰痛があり、
整形外科を受診しました。
腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。
椎間板ヘルニアとは、次のようなものです。
脊椎は、上から、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨1個、尾骨1個で構成
されています。
脊椎を構成する骨の前方部分を椎体といい、椎体と椎体の間には椎間板という
軟骨があり、クッションとなっています。
椎間板は、繊維輪という硬い部分とその中の髄核という軟らかい部分から
できています。
椎間板ヘルニアとは、繊維輪に亀裂が生じ、髄核が繊維輪を破って飛び出して
しまう事を言います。
飛び出した椎間板の一部が、付近にある神経などを圧迫する事により、激しい
痛みや痺れなどの症状を引き起こします。
その方は、下肢の知覚障害も出現し、歩行困難となりました。
膀胱直腸障害も出現し、手術となり、半年にわたる長期入院となりました。
退院された現在、杖があっても10分程度しか歩けない、座る姿勢も1時間が
限界、1日の大半は横になっている生活でした。
膀胱直腸障害のため、排泄も不自由で、長時間の外出はできませんでした。
会社は退職となり、健康保険の傷病手当金もあと2か月しかもらえないため、
経済的な不安を訴えていらっしゃいました。
遠方の方のため、最初お電話で相談がありました。
しかし、遠方の社会保険労務士だったせいか、請求代理契約を断られました。
ところが、1か月以上経過し、やっぱり請求代理をお願いしたいとお電話があり、
ご協力させていただくことになりました。
医師に診断書作成依頼をし、できあがった診断書を確認しました。
肢体障害の場合、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」が重要です。
その方は、歩行困難のため、「歩く(屋内)」、「歩く(屋外)」、
「片足で立つ」、「階段を上る」、「階段を下りる」の項目を特にしっかり
チェックしました。
これらの項目も含め、実態にあった診断書であり、問題なく、審査が進むと
予想していましたが、2か月ほどして、日本年金機構から、返戻(問い合わせ)
がありました。
診断書作成医師に対する照会(質問)でした。
L5(上から5番目の腰椎)、S1(仙椎:L5の下の椎骨)の神経根の障害の
有無、馬尾障害の有無についての、質問でした。
根拠の部分は省略しますが、結論としては、両者共に「有ると考えられる」、
と医師は回答されました。
下肢の知覚障害、歩行障害、膀胱直腸障害という実際の症状にあった妥当な回答を
していただけ、これで間違いないと思いました。
先日、傷病名:腰椎椎間板ヘルニアで、障害厚生年金3級の年金証書が届いたと
喜びのお電話をいただきました。
「日常生活における動作の障害の程度」を含め、実態にあった診断書を作成して
いただいたことと、日本年金機構からの返戻に対して、間違いない素晴らしい
回答をしていただけたことが、今回、腰椎椎間板ヘルニアでの障害厚生年金3級
受給に結び付いたと思います。
今迄は、診断書の内容が実態より軽く書かれていたり、記載もれがあったりして、
修正、追記をお願いすることが多かったですが、今回はそのようなことがなく、
ストレスなくスムーズに進めることができ、お医者様に感謝したいと思います。
双極性感情障害(そううつ)で障害厚生年金2級(額改定)が支給決定した方の
実績です。(岐阜・名古屋・全国の額改定請求の実績)
その方(男性)は、ソフト開発会社に勤務していましたが、精神を病み、退職と
なりました。
4年程後に自力で、傷病名:双極性感情障害として、精神障害で障害厚生年金の
裁定請求(遡及請求)を行いました。
過去(遡及)分は、障害厚生年金2級が認められましたが、請求後(事後)分は
障害厚生年金3級とされました。
その後の更新(障害状態確認届)でも、3級は変わらずでした。
精神状態がある程度落ち着いた後、ソフト開発の自営を始め、主にソフト会社等の
下請けをしていました。
ある会社よりソフト開発を請け負い、完成後納品するものの、何度も何度も作り直し
を要求され、泥沼化し、再び精神状態が悪化したとのことでした。
最初、ホームページより、病状が悪化し、額改定請求をしたいと、問い合わせがあり、
ご自宅近くの喫茶店でお会いすることにしました。
ご本人と奥様とでお話しを伺いました。
数か月前から、全く動けない時と、異常にハイになり、競馬にのめりこんだりを
くりかえし、双極性感情障害(そううつ)の特徴が顕著に表れるようになりました。
また、感情が高ぶると、希死念慮や、自傷への衝動が激しくなるとのことでした。
ベランダから飛び降りたいと思うこともあったようです。
とうとう、仕事もできなくなり、日常生活でも動けなくなり、入院することになった
とのことでした。
日常生活の不便をメールでヒアリングする上で、ご本人が精神的に不安定で、取り
組めないときは、奥様が代わりに対応していただけました。
ヒアリング資料をまとめ、医師に提出し、診断書を書いてもらいました。
できあがった診断書を拝見すると、日常生活能力の判定、日常生活能力の程度が
明らかに実態(提出資料に記載)から乖離しており、軽い症状に書かれていました。
何と、医師は最近2年間の病状の平均を書くものだと思い込んでいたことが
わかりました。
1~2年前は自営業を何とかこなしていた一方で、今現在は全く仕事が手に
つかない状態です。
そのような全く異なる状態2年間を平均して診断されているとは思いもしません
でした。
早速、今現在の障害の状態を書いてくれるよう、根拠も合わせて、医師に手紙を
書きました。
根拠は、厚生年金保険法施行規則第四十七条2の一です。
そこに、額改定請求時は、障害の「現状」に関する診断書を添付しなさい、
と定められています。
それにより、日常生活能力の判定7項目中2項目と日常生活能力の程度を修正して
いただけ、ほっとしました。
昨年9月1日施行された「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定
ガイドライン」で示された障害等級の目安と比較しても、3級から2級への改定は
いけると確信し、傷病名:双極性感情障害の額改定請求手続きを行いました。
先日、障害厚生年金2級への額改定決定通知があったと喜びの連絡がありました。
配偶者と子の加算も加わり、従来の障害厚生年金3級と比べると障害厚生年金2級
の年金額は2.6倍程になりました。
医師の誤解を解き、診断書を修正していただけなかったならば、まず額改定は
ならなかったと思います。
今回は極端でしたが、医師は障害年金の診断書の書き方に詳しくない方は多いです。
しかし、患者さんは、忙しい中診断書を作成していただいた主治医に対して、
「診断書はこのように書くんですよ」などと講釈を垂れるようなことは、仮に知識が
あったとしても、実際そうはできることではありません。
社会保険労務士がしっかり丁寧に医師をサポートすることが大切だと考えています。
双極性感情障害(そううつ)で障害基礎年金2級(事後重症、20歳前傷病)が
支給決定した遠方の方の実績です。(岐阜・名古屋・全国の裁定請求の実績)
その方(女性)は、幼少時より、同級生等からいじめを受け、自分の持ち物に触ると
ばい菌がつくなどと言われたりしました。
高校卒業後、遠方の専門学校に入学し一人暮らしを始めましたが、いじめとホーム
シックのため、幻聴、摂食障害、パニック発作などがあり、専門学校を中退し、
実家に戻りました。
精神科を初めて受診したのは、20歳の誕生日の10日程前でした。
抑うつ状態と診断されました。
その後、一人で外出することはできず、ひきこもりとなりました。
数年経過し、少しは外出できるようになり、パートに挑戦しましたが、
他の人と同じように仕事ができず、上司、先輩から罵倒され、ストレスが溜まり、
自傷行為、パニック発作が悪化し、結局解雇となりました。
その後、再度パートに挑戦しても、同様に、上司、先輩から叱責を受け、ストレスが
溜まり、退職に追い込まれました。
現在、その方はごく短時間の就労をしていましたが、清掃のような単純作業で、
しかも自分のペースでしてよいという配慮された雇用(アルバイト)でした。
しかし、現在のごく短時間のアルバイトの給料では、病院までの交通費と治療費で
消えてしまい、ご家族内で肩身が狭いと仰っていました。
現在通院の病院では、双極性感情障害と診断されていました。
遠方の方のため、最初お電話で相談がありました。
電話では、予想外に、明るく、気さくな女性でした。
家族以外の人とは、対面では緊張であまり話ができませんが、電話だと話しやすい
ようでした。
既に、医師に診断書を書いてもらったというので、診断書を見せてもらいました。
不備、実態に合っていない点が多くありました。(下記1~6など)
(1)初診日の確認手段の記入もれ
(2)通院歴のもれ
(3)処方薬の記載が無い
(4)日常生活能力の判定の「社会性」の項目が実態にあっていない
(5)現症時の就労状況は、ごく短時間の配慮されたアルバイトであったにも
かかわらず、一般雇用となっていた。
(6)記載必須欄が空白であった。
昨年、厚生労働省において、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級
判定ガイドライン」が策定され、9月1日施行されました。
その中で、診断書記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び
「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に
相当するかの目安が示されました。
また、「現在の病状又は状態像」、「療養状況」、「生活環境」、「就労状況」、
「その他」について、考慮されるべき要素と具体例が明示されました。
上記(3)は、ガイドラインの「療養状況」に相当する内容であり、医師に
処方薬を追記依頼しましたが、対応していただけなかったため、最近のお薬手帳
を数回分コピーして裁定請求書類に添付しました。
上記(4)は、ガイドラインの「障害等級の目安」に相当する内容であり、
外出先で母親とはぐれるとパニック発作を起こしたり、各種手続きも一人では
できないこと、などを医師にご説明し、日常生活能力の判定の「社会性」の項目
を修正していただきました。
上記(5)は、ガイドラインの「就労状況」に相当する内容であり、就労はして
いても、充分配慮された上でのごく短時間の就労(アルバイト)である、
と医師に修正していただきました。
上記(1)、(2)、(6)は、医師に手紙で丁寧に説明し、追記、修正して
いただきました。
先日、障害基礎年金2級の支給決定連絡があったとお電話があり、経済的に
少し余裕ができたのがうれしいと、お喜びでした。
上記(1)~(6)の対応が支給決定に大きく寄与したのは間違いなく、
本当に良かったと思います。
今後は、経済的な理由から、もっと長時間の就労に挑戦したいと仰っていました。
しかし、障害者を受け入れる求人はまだ少なかったり、入社しても配慮が充分で
なく、以前のように叱責、罵倒され、長く続かないことも多いです。
是非、双極性感情障害といった障害者にも充分配慮した雇用が増えることを期待
したいと思います。
また、今回のケースで特筆すべきは、その方は非常に幸運だったことです。
初診は、20歳の誕生日の10日程前でした。しっかり初診証明もとれました。
その方は、20歳から引きこもりであった数年間国民年金保険料が未納で、
免除申請もしていませんでした。
したがって、もし初診が実際より10日後で、20歳を迎えていたら、保険料
納付要件は満たさず、障害年金を受給できませんでした。
20歳前の年金制度に加入していないときに、初診日がある場合は、納付要件は
問われないという特例に救われたのです。
国民年金保険料の未納が多いといった報道を耳にします。
国民年金保険料の納付率は(申請免除、納付猶予を除いても)約65%です。
一方、日本人の約6~7%は障害(身体、知的、精神)を持つと言われており、
誰もが障害年金のお世話になる可能性があるといっていいでしょう。
今迄障害年金の相談を受けた方で、保険料納付要件を満たさず、代理をお断り
させていただいた方は何人もいらっしゃいました。
社会保険労務士であっても、保険料納付要件だけは、どうしてあげることも
できません。(社会的治癒を利用して救済可能なケースもありますが、
すべての方を救済できるわけではありません。)
国民年金保険料は是非納付していただきたいと思います。
どうしても、経済的に納付できない場合は、保険料免除・納付猶予制度を
ご利用ください。
障害年金制度は、経済的弱者にとても優しく作られており、事前に申請手続き
をしておけば、障害年金の保険料納付要件は満たされることになります。
(障害年金の保険料納付要件や保険料免除・納付猶予制度について、詳しくは
日本年金機構のホームページをご覧いただくか、我々社会保険労務士にご相談
ください。)
今回の女性は、初診の時点では保険料納付要件のことは頭にないどころか、
障害年金制度の存在自体ご存知でなかったわけですから、幸運だったとしか
言いようがありません。
しかし、一般の方は長い人生の中で予期せぬ障害を負ったときに、幸運を期待
しなくとも安心して障害年金制度を利用できるように、普段から国民年金
保険料を納付していただくか、保険料免除・納付猶予の申請をしておいて
いただきたいと思います。
統合失調症で障害基礎年金1級(認定日請求)が支給決定した岐阜、名古屋周辺域
の方の実績です。
その方(男性)は、高校生の頃不登校傾向になり、平成23年3月11日、東日本
大震災のニュース映像を見た後、引きこもり、奇異行動(徘徊、独言、空笑)
が始まり、母親と児童相談所により精神科に連れて行かれ、統合失調症と診断
されました。
その後定時制高校に入学しましたが、何事も行動が遅く、また自ら次の行動を
とれない、などで、同級生、先生の指示を頼りに次の行動をしていました。
自力で通学するのも難しく、母親が車で学校の玄関までの送迎をしていましたが、
学校の玄関から教室までも一人で行けないことも度々ありました。
母親が脳出血で倒れ、入院となり、通学できず退学、まともな食事もとらず、
1日1回菓子を食べるだけになり、痩せていきました。
そのため、病院付属のデイケアに月~土と通い、昼食、夕食を食べるようになり、
体力が回復しました。
しかし、デイケアの最中も、毎日のように徘徊していました。
度々お声かけいただいている、なじみのケースワーカーさんから、その方を紹介
されました。
本人と同じ病院に入院中の母親とケースワーカーさんとでヒアリングを行いました。
本人に高校生の頃からの病歴、日常生活能力をヒアリングしようとしましたが、
殆ど何も語らなかったため、窮し、やむを得ず、ノートとペンを渡し、内容は
問わないので思ったことを毎日書くようにお願いしました。
今迄、統合失調症の方の日記を拝見すると、明らかにその特徴が読み取れたから
です。2週間ほど経過し読ませていただくと、驚きました。
特徴が表面上現われていないどころか、しっかりとした字体と文章表現でした。
文章はしっかりしたことを書けるにもかかわらず、日常生活は自分一人では
生活できないアンバランスさがありました。
母親は入院リハビリ中のため、情報提供について、無理も言えませんでした。
高校生のときの記録が児童相談所に残っているはずなので、実際に出向きましたが、
個人情報の関係で、取得手続きが煩雑かつ時間がかかりすぎるため、断念しました。
ケースワーカーさんが保有する情報、母親からのわずかな情報を得て、病歴と
日常生活能力の資料をまとめました。
参考資料を医師に提出し、診断書を書いていただきました。
先日、お母様より障害基礎年金1級の年金証書が届いたと連絡を受けました。
母親自身全く働けなくなり、急に収入減となったため、1級の結果にたいそう
お喜びでした。
私もケースワーカーさんも2級を予想していたため、驚きました。
昨年、厚生労働省において、「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級
判定ガイドライン」が策定され、9月1日施行されました。
その中で、診断書記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び
「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当
するかの目安が示されました。
その方の日常生活能力の判定、日常生活能力の程度からは、目安は「1級又は2級」
レンジであり、「1級単独」レンジにごく近いところでした。
そのガイドラインの目安が素直に適用された結果であり、うれしい誤算でした。
現在その方は20歳代前半であり、まだ長い人生を生きていかなければなりません。
今は、社会性、他人との意思疎通能力は低いため、暫くは社会に出て仕事をする
のは困難かと思います。
また、今は食事、入浴などの日常生活も自発的にはできません。
何らかのサポートが無いと、今後の人生は厳しいと言わざるをえません。
しかし、日記を拝見する限り、知的レベルは低くなく、興味のあることに対しては
理路整然と自分の考えを表現していました。
日記には、尊敬する人物は「菅直人」元首相であり、東日本大震災での原発事故
への対応について書いていました。
また、天気図を見るのが好きで、当時の天候を天気図から理論的に解説していました。
たとえ知的能力がどんなに高くても、一般的な社会のルールの下で行動し、他人との
意思疎通ができないと、社会は受け入れてくれません。
現実的には厳しいかもしれませんが、医師による治療と共に、その方の興味のある
ことを今後伸ばしていけるサポートがあり、社会参加への道が作れないものか。
日記を読み返し、そのような思いが募りました。