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障害年金不服申立て公開審理傍聴

先日、1年ぶりに障害年金不服申立て公開審理の傍聴をしてきました。
場所は厚生労働省社会保険審査室です。

年金の裁定や受給権の消滅など、厚生労働大臣の行った処分に不服があるときは、
不服申立てができます。
障害年金についての不服申立ては二審制となっており、一審目が審査請求、ニ審目が
再審査請求です。
最近障害年金に関わる法改正などがあり、審理の場での社会保険審査会、
保険者(行政)の発言から、その関係の考慮状況を確認する目的で、傍聴しました。

当日は件数は40件でした。
その中で、4件については、全国各地の社会保険労務士が代理人として意見陳述を
していました。
6件については、本人又はご家族が意見陳述をしていました。
他は請求者欠席のまま、審理されました。
傍聴者には、資料の配布、申立て内容の詳細説明はありません。
したがって、審査員、保険者、請求者(代理人)、参与から何も発言が無いと
傍聴者には、審理内容は全くわかりません。
しかし、何らかの発言があると、争点の一部を理解することができました。

当日は、下記のような説明、意見、質問/回答、陳述などがありました。

1.今年H28.6月1日受付以降の糖尿病新認定基準に関すること。
(保険者説明)
2.糖尿病に関して、HbA1cの測定方法の変更。
(日本独自のJDS値から国際値に相当するNGSP値への変更)
「診断書の値は一体どちらの値か?」請求者に質問。(審査会質問)
「JDS値。わざわざどちらの値か説明書きは不要と年金事務所で教示が
あった。」(請求人回答)
3.「糖尿病旧認定基準 血糖コントロール不良の基準:
『HbA1cが8.0%以上及び空腹時血糖値が140mg/dl以上』の
『及び』は、『かつ』か『又は』か?」(参与質問)
「かつ」が正しいが、「又は」と勘違いして不服申立したケースあり。
4.精神診断書
日常生活能力の判定と日常生活の程度の乖離。(複数あり。)
どちらを信用すべきかという問題。
5.解離性運動障害の診断書の選択の問題。(複数あり。)
「精神診断書を選択したが、肢体診断書が必要だったか?
年金事務所などの受付では、そのようなアドバイスをしないのか?」
(参与質問)
6.初診日の医証が得られず、薬局の領収証などで代用し、初診日が確認できない
とされたケースあり。
7.初診日が健康診断日のケース
「H27.10.1以降原則健診日は初診日として扱わないことになったが?」
(参与質問)
「条件が揃えば、本人申立で健診日を初診日に採用することはある。」
(保険者回答)
8.正社員で勤務実績あったため、精神3級が認められなかったケースあり。
実態:業務内容は本来より軽度の作業を与えられ、休みがち。(代理人陳述)
9.初診日の1年半後障害認定日において、急性期、原因不明で治療開始していない、
症状固定していない場合。
⇒「その後の追加診断書が必要、この後、追加診断書が提出されれば、審査
します。」(保険者医師)
10.9のケースで、追加診断書をつけて再裁定請求でも可。
「一事不再理の原則が適用され、却下されるのではないか?」
(請求代理人質問)
「追加診断書を付ければ、一事不再理の原則に該当しない。」(保険者回答)

下記、私の感想です。
ア.最近の法改正の関係(糖尿病認定基準、初診日の取り扱い)に関する説明、
意見はやはりありました。
イ.初診日の医証が無い場合は、念には念を入れ、なるべく多くの補助資料を準備
しないと、すんなりとはいかないと感じました。
ウ.精神疾患に関しては、やはり働いていると認められにくく、覆すには余程就労に
おける配慮がなされた実績の資料がないと難しいと感じました。
エ.障害認定日の診断書のみでは認定が困難な事例があり、参考になりました。
オ.裁定請求後提出の追加診断書の扱いは行政も統一的な対応がされていない部分
ですが、参考になりました。
カ.再裁定請求に関して、一事不再理の原則はありますが、やりようによっては
対応できることがわかり、参考になりました。

一般の方は、裁定請求時、上記1~10のような事項を考慮して、進めることは
困難だと思います。
その前に、殆どの方は上記のような事項があることすらご存知でないと思います。
障害年金の裁定請求等をしようと考えておられる方は是非、障害年金に詳しい
社会保険労務士にご相談していただきたいと思います。


糖尿病:障害厚生年金3級(事後重症)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/09/16 重4

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害厚生年金3級(事後重症)が支給決定した
実績です。
その方(男性)は、営業職で接待も多く、ゴルフもよくラウンドされ、活発にお仕事、
趣味をされていました。
30歳の頃、会社の健康診断で糖尿病に関する異常値が出て、徐々に喉が渇く、疲れ
やすい、等の自覚症状が現われ、数年後病院にかかり、糖尿病と診断されました。
徐々に悪化し、40歳の頃インスリン治療を開始しました。
その後も、50歳代にわたり、悪化し、インスリン注射回数も増えるように
なりました。
現在も仕事中、低血糖になり仕事に集中できなくなったり、低血糖対策でブドウ糖を
吸収し高血糖になりすぎ、眠くなったりして、しばしば仕事に影響が出ていました。

私に相談があり、喫茶店でヒアリングしました。
初診日が25年程前とのことで、本人もしっかり記憶されておらず、不安がよぎり
ました。
初診日が証明できないと、現在どれほど重篤な症状があっても、原則障害年金は支給
されないからです。
(後述しますが、昨年法律の改正があり、若干緩和されました。)
かろうじて初診にかかった病院は覚えていらっしゃったため、その病院に問い合わせ
しましたが、カルテなどすべて廃棄されており、証明の手がかりになりそうなものは
何一つ残っていませんでした。
また、その病院にかかる前に、会社の健康診断で糖尿病に関する異常値が出ましたが、
健康診断の医療機関に問い合わせしても、やはりすべて廃棄されており、同様でした。
その後、2番目に行った病院にも問い合わせをしましたが、やはり同様でした。
3番目に行った病院に問い合わせしたところ、20年程前の当時のカルテが残って
いるとの回答を得ました。
藁にも縋る気持ちで、カルテ開示請求をしたところ、カルテに1番目にかかった時期、
病院名の記載がありました。
その方が3番目の病院にかかったときの問診票も残っていました。
そのカルテ、問診票のコピーで初診証明は、大丈夫かと思いましたが、念のため
さらに健康診断の結果を記憶していた、当時の会社の同僚が2名いらっしゃって、
第三者証明をお願いしました。
当時、仲間内で健康診断の結果を見せあいし、その方の糖尿の数値が話題に上って
いたそうです。
初診証明としてはそれらの資料を添付し、障害年金請求処理をしました。

先日その方より障害厚生年金3級(事後重症)の支給決定があったと連絡があり、
大変喜んでいらっしゃいました。
糖尿病は長期にわたり徐々に悪化するのが一般的であり、20年~30年前の初診
病院のカルテが廃棄されている、病院自体が廃院となっている、などで、初診証明が
難しいことが多いです。
「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令」が、平成27年10月1日から
施行されました。それに関連して厚生労働省より、平成27年9月28日付で、この
改正に係る事務の取扱いについての通知が出されました。
この通知では、今回のような場合に初診証明のためにどのような資料が必要になる
のかを様々なケース毎に細かく定めています。
一般の方は、その法改正の内容を正確に把握し、自分のケースにあてはめて検討し、
間違いなく対応することは、困難だと思います。
今回のように、初診時のカルテが存在しないようなケースでは、やはり我々
障害年金に詳しい社会保険労務士にご相談いただくのがベストの選択だと思います。


広汎性発達障害:障害基礎年金2級(遡及)が不服申立で決定(後編)(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/08/24 重2

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級が不服申立で支給決定
した実績(後編)です。
障害認定日及び裁定請求日共に不支給決定となった方の話の続きです。

不支給決定の連絡を受け、早速本人とお会いし、どのような書類を集め、審査請求
をすべきかを話し合いました。
自閉症の子供さんが通う養護学校、子供さんの障害の相談機関、等とは、その方の
不安症状、攻撃性、学習障害、強いこだわり、で毎日のようにトラブルを起こして
いたため、それらの方に、申立書を書いてもらうのが、その方の障害を理解して
もらうのに、最も説得力があると考え、それらの方に申立書の作成依頼をしました。
その方は一生懸命、多くの関係者に申立書作成のお願いに回りました。
不安からの攻撃性(長時間の電話で怒鳴る、無理難題を言う、など)で、さんざん
迷惑をかけてきたにもかかわらず、お忙しい中みなさん快く引き受けて頂き、
素晴らしい申立書が集まりました。
また、診断書では学習障害に関する記述が若干不足していると思われたので、医師に
そのことを申し上げ、それに関しての意見書を作成していただきました。
合計5名の方に、意見書、申立書を作成していただき、大量の書類を審査請求書に
添付し、審査請求手続きを行いました。

審査請求でも考えられることはすべて行い、完璧と考えていましたが、一般には
審査請求は容認とならないのが、半ば常識となっています。
事前にその方にもお伝えしており、審査請求棄却通知が届いたら、すぐさま
再審査請求のための行動をとりましょう、と話していました。
審査請求の結果を待つ間、私は次の再審査請求のための作戦を考えていました。
審査請求後待つこと3か月、私の携帯に厚生局から電話があり、もしやと
思いましたが、裁定請求の処分変更で、障害認定日、裁定請求日、共に
障害基礎年金2級が認められたという連絡でした。
(結果としては、裁定請求の処分変更は、審査請求の容認と実質同じことです。)
すぐさま本人に連絡すると、信じられない、と非常に喜んでいただけました。
先ほどの電話は夢かもしれないと思われ、その後2度確認の電話がありました。
一般に、決定がおかしいと思われる内容であっても、審査請求で覆ることはまれ
であり、次の再審査請求で覆すつもりでいたため、やや拍子抜けしましたが、早く
支給が決まり、本当に良かったです。
できることはすべてして審査請求に臨んだことが今回の支給決定に結び付いたと
思います。
また、最初の裁定請求の資料もやはり落ち度は無かったことが処分変更によって
証明されたと考えています。
やはり、行政も少数の職員、認定医が大量の請求書を吟味、決定をしなければ
ならず、時には間違った決定をすることもあります。
したがって、間違った決定と思われた場合は、不服申立をしないといけません。

先日、その方に遡及5年分の障害基礎年金2級(子の加算あり)の相当の額の
入金がありました。
本当に喜んでいただき、何度も御礼がありました。
その方は、意見書、申立書を作成していただいた5名の方にも御礼をしたいため、
文章作成が苦手な自分に代わって礼状の文章を作って欲しいと依頼され、快く協力
させていただきました。
礼状を持って、5名の方(別住所)に一人ずつ丁寧に御礼の挨拶回りをされました。

また、余談になりますがその方は道を歩いていて偶然介護施設の職員が障害者を
虐待する現場を目撃し、見過ごすことができず、一人でその職員が働く介護施設に
怒鳴り込んでいったという、正義感の強いところもありました。
丁寧な御礼回りや障害者への虐待を見過ごすことができなかったところは、
他人への攻撃性を示す人格とは一見矛盾する人格のように見えるかもしれません。
その方は、広汎性発達障害の特徴の一つ、極端な生真面目さ、こだわりがあり
ました。
他人への攻撃性は、自ら障害を持ちながら母親の務め(自閉症の子を自分一人で
育てなければならない)を完璧にこなそうとする生真面目さゆえに、思い通りに
事が運ばない苛立ち、不安感から、現われた広汎性発達障害の特徴の一つであった
と思います。
恩を忘れず誠実に御礼回りをし、また障害者への虐待を見過ごすことができず
行動を起こした人柄こそその方の本来の姿であったと思います。


広汎性発達障害:障害基礎年金2級(遡及)が不服申立で決定(前編)(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/08/17 重1

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級が不服申し立てで支給決定
した実績(前編)です。
その方(女性)は、幼少期から、計算、文章の読解が苦手、友達ができない、という
他人との違いの自覚はありました。
結婚、出産をしましたが、子供が自閉症で物を壊す、投げる、といったパニック症状
を起こすようになり、その対応で、不眠、不安などうつ症状が現われました。
その後、離婚すると、子どもの対応をすべて一人でこなさなければならず、さらに
混乱するようになってきました。
また、子供を養護学校に行かせるようになりますが、学校との間の連絡帳、
アンケート、などが理解できず、不安が増し、学校の先生に対して、毎日のように
攻撃性(長時間の電話で怒鳴る、無理難題を言う、など)を示すようになりました。
また、不安が高じ、希死念慮、フラッシュバック、などにも悩まされました。
精神科の病院で検査を行い、自分が広汎性発達障害であることがわかり、幼少期から
他人と違っていた理由を初めて理解することができました。

医師から障害年金制度の話を聞き自分一人で請求手続きをしようと、年金事務所で
説明を受け、医師への診断書作成依頼、病歴就労状況等申立書の作成をされました。
しかし、医師に作成してもらった診断書と自力で作成した病歴就労状況等申立書が
これでよいかどうか、全くわからず、社会保険労務士の私に相談がありました。
診断書、申立書のチェック、アドバイスだけでいいということでしたので、破格な
安価で引き受けることにしました。
医師が作成された診断書も誤りや実態に合っていない点が多く、また自力で作成
された病歴就労状況等申立書は、とても症状、日常生活の不便さを詳細に読み取る
ことはできないようなものでした。
(一般の方が年金事務所で20分ほどの指南で作ったものなので無理もありません。)
破格な安価の契約でしたが、すみずみまでチェックし、アドバイスできることは
すべてしました。
その方は、私のアドバイスを聞いて、自力でやってきたことは全く不十分で、専門家
にお願いした方が早く、確実だとすぐさま理解されました。
次回お会いしたときは、通常の委託契約に変更したいと仰って、診断書、病歴就労
状況等申立書も一からやり直すこととなりました。
その後メールを何十回とやりとりし、ヒアリングを進めました。
うつ病、広汎性発達障害、学習障害に関するエピソードは非常に多くあり、まとめる
のが大変でしたが、相当量の枚数の病歴就労状況等申立書とその補足資料を書き上げ
ました。
医師も協力的で、診断書作成依頼に添付した日常生活に関する資料を参考にして
いただけ、実態にあった診断書(障害認定日時点及び裁定請求日時点)を作成して
いただけました。
年金事務所に請求書を提出し終えると、非常に感謝していただけました。
感謝されるのはまだ早いと思いましたが、診断書(障害認定日時点及び裁定請求日
時点)、病歴就労状況等申立書共に、充実度は高く、まず支給決定されると予想
していました。

請求から3か月後、意外にも障害認定日及び裁定請求日共に不支給決定の連絡を
受けました。
診断書(障害認定日時点及び裁定請求日時点)、病歴就労状況等申立書共に、完璧
と思っていただけに、ご本人も私もショックでした。
診断書を書いていただいた医師も信じられないと仰っていました。
どこに不支給原因があるのか全く理解できず、行政側の何らかのミスとしか
言いようがないと思われ、当然不服申し立て(審査請求)をすることにしました。
不服申し立てをすれば、通るはずだと自信はありました。
その後、不服申し立てで不支給が支給に覆えりました。⇒詳細は次回記載します。

 


うつ病で障害基礎年金2級(遡及 20歳前障害)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/07/02 うつ病

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級の実績です。

その方(女性)は、中学生の頃から人間関係がうまくいかず、生徒、先生にも
いじめられ、不登校になりました。
食事、洗面、風呂、買い物、外出、就寝、文章の理解、など日常生活すべて母親の
援助が必要でした。自傷行為、妄想も多くあり、重い障害をお持ちでした。
母親の援助で何とか大学を卒業し、就職したものの、いじめなどで長続きせず、
現在は、母親送迎でかろうじて簡単なアルバイトをこなしていました。

私に相談があり、ヒアリングさせていただいたときは、理路整然と病歴の話を
され、一見とても重い障害をお持ちの方のようには見えませんでした。
ただ、ご本人の対面のヒアリングは、最初の1回のみで、後は外出できず、お母様に
バトンタッチされ、ヒアリングを継続しました。
そのため、本人しかわからない点、母親の視点で見ないとわからない点、それぞれ
しっかり把握することができ、細部にわたり病状、病歴をまとめあげることが
できました。
医師も、お渡しした資料を参考にしていただけ、ほぼ実態にあった診断書を作成
いただけました。

先日お母様より、障害基礎年金2級(遡及)の支給決定があったと連絡があり、
本人、お母様共に、大変喜んでいらっしゃいました。
「遡及」は過去5年分の年金が遡って支給されるため、最初にかなり高額な年金が
支給されます。
お母様は、10年以上毎日24時間彼女の介護をしてきました。
お母様より多くの苦労話を伺っており、今までのご苦労が多少でも報われたような
気がして、私も本当にうれしく思いました。

今病歴就労状況等申立書を読み返してみても、日常生活の光景が非常にリアルに
目に浮かぶような記録になっています。
それは、本人の心の叫びとも言えるような自己申告と、長年介護してきた母親の
苦労された実体験の報告がミックスされているからだと思います。

障害年金制度は、障害の病名や症状ではなく、日常生活の困難さが主な認定基準と
なる、非常に人間味のある素晴らしい制度です。
しかし、障害年金の認定を行う行政は、日常生活の困難さを我々が提出した書類
から読み取るしか術がありません。
今回の請求代理を通じて、社会保険労務士は、日常生活の光景がリアルに目に
浮かぶような文章(申立書)で、行政に訴えることの大切さを再認識致しました。


躁うつ病で障害基礎年金2級(事後重症)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/06/16 躁うつ病

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害基礎年金2級の実績です。

その方(女性)は、中学生の頃からクラスメートと会話はあるものの内心全く話が
あわず、違和感を感じていました。
身内の入院などで、気分が沈み、勉強にも身が入らなくなり、精神科を受診しました。
若くして結婚、出産したものの、家事、育児は殆どできず、母親、ヘルパー、ご主人に
頼りきった生活をされていました。
不眠が続き、幻覚、幻聴にも悩まされ、自殺未遂も何度か起こしていました。

私に相談があり、喫茶店でヒアリングしたときは、まだ若くてとても子供さんが
いらっしゃるように見えませんでした。
あまりメールが得意でなく、また外出もあまりできず、数少ない喫茶店での
ヒアリングと電話で、病状、日常生活の不便さを聞き出し、まとめていきました。
医師に診断書を作成していただきましたが、かなり軽症の診断書となっていたため、
実態に合うように修正していただきました。

先日障害基礎年金2級(20歳前障害、事後重症)の支給決定があったと連絡があり、
大変喜んでいらっしゃいました。
その方はおとなしくて、積極的に細かくヒアリングしないと、症状、エピソードなどを
聞き出すことができませんでした。
おそらく医師に対しても、普段の診察時、病状に関して多くを語っていなかったと
思います。そのために、最初の診断書では、実態とかけはなれたものになっていた
のだと思います。
最初の診断書のままで、請求手続きをしていたら、まず障害年金2級は通らなかったと
思います。
通常、患者本人一人で、医師に対して、診断書の修正をお願いすることはできない
ものです。今回のように、障害年金専門の社会保険労務士が、患者に付き添い、医師に
実態に合うように修正をお願いし、受給に結び付いたときは、相談者の方も、社会保険
労務士に相談してよかったと思っていただけるのではないかと思います。


双極性感情障害で障害厚生年金3級(事後重症)が決定(岐阜、名古屋周辺域の実績)

2016/05/22 躁うつ病

岐阜、名古屋周辺域にお住いの方の障害厚生年金3級の実績です。

その方(男性)は、10年ほど前、部下となった社員から自分の上司への告げ口が
きっかけとなり、上司からパワハラを受けるようになりました。
長時間残業、時には徹夜作業を余儀なくされました。
そのため、不眠、頭痛、会社も休みがちとなり、病院を受診したところ、初診では
うつ病と診断されました。
その後回復しても、上司の叱責などで再び症状が重くなる、の繰り返しで退職、
再就職を繰り返しました。
最近就職した会社では、入社早々通勤時に既に冷や汗、動悸が起き、精神的に
まいってしまい、1か月程度で退職となりました。

私に相談があり、喫茶店でヒアリングしたときは、真面目でおとなしそうな方と
いった印象でした。
しかし、通常の会話は問題なくできるのですが、深く掘り下げた話を向けてもなぜか
通りいっぺんの答えしか返ってきません。
以前パワハラで受けた心の傷で、無意識に心が予防線を張っているような印象を
受けました。

先日障害厚生年金3級(事後重症)の支給決定があったと連絡があり、大変喜んで
いらっしゃいました。
今後、従来と同様、回復したように感じて再就職されることもあるかと思いますが、
この病気は再発することが多いといいます。
是非治療を長期継続して、健康になっていただきたいと思います。


大腿骨頭壊死症で障害厚生年金3級(遡及)が決定(全国対応の実績)

2016/04/17 重5

障害厚生年金3級の全国対応の実績です。

その方(男性)は、就職以来、製造現場で重い製品を運ぶことも多く、また
ウィンタースポーツも毎年楽しんでいました。
ある時、股関節が痛み近所のクリニックに行きましたが、原因がわからず3件目の
病院でようやく病名が判明しました。
その後、人工関節手術を行いました。

私には最初メールで相談がありましたが、私が主に活動している東海地方から、
500km以上遠方からのご相談でした。
正直受任すべきかどうか迷いましたが、メールと電話での対応が主であることを
了解いただいた上で、受任することとしました。

書類作成を進める上での最大のネックは、「初診日」問題でした。
その方が1件目にかかったクリニックでは、初診日から5年以上経過し、すでに
カルテが廃棄されていました。
かろうじて受診受付簿が残っており、「受診状況等証明書」(初診証明)を書いて
もらおうとしましたが、「中身がほぼ白紙の受診状況等証明書が何故初診証明に
なるんだ。納得できない。」と仰る遠方の医師を電話で説得するのに苦労しました。
厚生年金保険法の初診日の考え方に納得されないものの、最後は書いていただける
ことになり、ほっと胸をなでおろし、これでいけると確信しました。
厚生年金加入期間の初診であることの証明をさらに完璧なものにするため、発病前に
撮影したウィンタースポーツをしている写真も添付しました。

先日、障害厚生年金3級(遡及)の支給決定があったと連絡がありました。
また、その後日本年金機構から遡及5年分の入金があり、即喜びのお電話を頂戴
しました。
遠方でしたが、メール、電話、郵便をフル活用し、タイムリーに情報提供いただけた
ことが、支給決定につながったと思います。

今回の成功を機に、全国の方の相談を受ける意を強くしました。


うつ病で障害基礎年金2級(事後重症)が決定

2016/02/03 うつ病

その方(女性)は、子供の頃からADHD(注意欠陥多動性障害)の症状があり、
人とのコミュニケーション、家事は不得意でした。
結婚後、夫の両親等と同居しましたが、夫の家族の言うことを額面通り受け取ると、
後から責められ、料理、掃除も手順がわからず、しないでいると責められ、
どんどん自信をなくし、眩暈、吐き気、頭痛、耳鳴り、幻覚の症状が出て、離婚と
なりました。
その後、今のご主人と出会い、結婚されました。
今のご主人は、うつ病、ADHDに理解があり、奥様に無理をさせないように
配慮する、非常に優しい方でした。

私に依頼があり、初回ヒアリングをご夫婦とファミレスで行いました。
その後、メールで詳細を詰めていきましたが、奥様は長文のやりとりに疲れて
しまい、途中からはご主人とのメールのやりとりとなりました。
無事、医師への診断書作成依頼書を作成しました。
依頼書を基に、障害認定時と現在の診断書ができあがり、その後病歴・就労状況等
申立書を作成し、障害基礎年金の遡及請求をしました。

先日、障害基礎年金2級(事後重症)の支給決定の知らせを受け取りました。
その方は、障害認定日の頃も現在もかなり重い症状であり、充分2級遡及に
相当すると思われました。
しかし、障害認定日の頃は、当時診ていただいていた医師との意思疎通が困難で、
緊張して自分の症状、日常生活の不便さを伝えることができなかったそうです。
したがって、障害認定日の頃のカルテには軽い症状しか記載されておらず、
診断書も当時の実態より、かなり軽い症状となっていました。
当時の症状、日常生活の不便さを細かく記載した資料を準備し、少しでも実態に
合うような診断書を書いてもらえるように、依頼しましたが、当時の主治医は既に
その病院に勤務されておらず、当時診ていなかった現在の主治医に依頼の内容を
理解していただくことは、残念ながら難しかったようです。

そのため、遡及部分は認められませんでしたが、事後重症は認められ、非常に
喜んでいらっしゃいました。
その方は、普段は無表情ですが、好きな趣味をするときだけは、見違えるように、
生き生きとした表情になるそうです。
今回の年金受給決定で、心に余裕ができ、その生き生きとした表情が少しでも
増えることがあれば、これほどうれしいことはありません。


双極性感情障害で障害厚生年金3級(遡及)が決定

2016/01/05 躁うつ病

その方(女性)は、高校生の頃までは、いつもニコニコと笑顔のすてきな女性
だったそうです。
就職後、社内の人間関係がうまくいかなくなり、体調をくずし、仕事を休むように
なり、そのために解雇されてしまいました。
(解雇の前に、医者にかかっていたのが幸いし、障害厚生年金を受給できました。)
その後、そう状態、うつ状態を繰り返すようになりました。
うつ状態では、倦怠感、不安感、不眠症状、希死念慮があり、そう状態では、お金の
浪費をする、他人とけんかをする、などといったことがありました。
豊かだった表情が無表情になり、薄暗い部屋でぼーっとしていることが増えました。

私に依頼があり、ヒアリングを行い、医師に日常生活の状況などを参考にして
いただく資料を作成し、医師に診断書作成を依頼しました。
その後、医師が診断書を書いてくれる気配はなく、もう診断書を書いてくれない
のではないかと、半ば諦めていました。
診断書作成依頼から、何と7か月後ようやく診断書2通(障害認定時、現在)が
できたと連絡が入りました。

先日、障害厚生年金3級(遡及)の知らせがありました。
診断書作成依頼し、4,5カ月経過した頃、しびれを切らし、病院に乗り込み医師に
督促しようと思ったこともありましたが、医師が怒り、逆効果になるかもしれない
と思い、じっと待つことにしました。
診断書作成に7か月もかかるとは思いもしませんでしたが、辛抱強く待った甲斐が
ありました。
ご本人は何としても遡及が通るとうれしいと仰っていたので、希望通りになり
非常に喜んでいらっしゃいました。
今迄落ち着きませんでしたが、ようやく治療に専念できるとのことでした。
今後治療の効果と本人の前向きな気持ちで、高校生の頃の笑顔が戻ることを願って
やみません。

 


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